Talking event
「揺らぎと共生」
渉成園と門前エリアにおいて、各ジャンルで活躍するキーパーソンを招き、地域活性化の可能性について語り合いました。
2023年1月、東本願寺の御用達をつとめる植彌加藤造園株式会社主催の地域企画「門前にあそぶ~渉成園と地域をつなぐ小さな旅~」では、門前エリアマップ、ディスプレイ「いのち 響きあう世界」など、門前地域の巡回を誘引する取り組みを行いました。その振り返りと、今後の展望を導き出す機会として、FabCafe Kyotoを会場に、門前エリアを拠点に活動するパネリストの皆さまをお招きして、この地域の未来に対する願い、期待や夢をオープンに語り合うトークイベントを開催しました。
世界的観光都市京都。その玄関口である京都駅前東本願寺門前エリア。巨大な2つのGATEWAY。しかし同エリア内の名勝庭園「渉成園」は、駅から徒歩10分圏内という抜群の立地条件に恵まれながら、京都観光に訪れるゲストには意外なほど知られておりません。
2020年1月以降コロナ禍により京都の観光事業は丸3年間の足踏みを余儀なくされましたが、東本願寺の慶讃法要を目前に、京都市立芸術大学移転、市民緑地の完成を控え、徐々にユニークな方々が集い、面白い取り組みも始まり、機運が充実してきております。
本企画では会場FabCafe Kyotoの五感を刺激するクリエイティブな時間・空間を楽しんでいただきながら、門前エリアの課題を共有し、渉成園や門前エリアの未来をつくるためのアイデアを出し合う機会を設けました。
開催日時 2023年1月26日 (木) 18時半 ~20時半
開催場所 FabCafe Kyoto (MTRL KYOTO) | Google mapで開く
参加費 無料(1ドリンク・フード付)
参加人数 26名(パネリストを除く)
主催 植彌加藤造園株式会社/協力:FabCafe Kyoto
告知ページ:https://fabcafe.com/jp/events/kyoto/230126_ueyakato/
ファシリテーター
パネリスト
ファシリテーター
鷲田 悟志
プロフィール
御用達として東本願寺・渉成園の担当を務める。理性を超えた芸術作品としての日本庭園の魅力に惹かれ、庭づくりに携わる職人。学びを深めた現代美術をバックボーンに、日本庭園と芸術・文人文化をより密につなげていくことを目標として日々の手入れに勤しんでいる。渉成園では、「五感を楽しむ庭ガイド」や「煎茶講座」の企画も担当している。
トークの概要
2023年、東本願寺門前エリアでは、高まりつつある機運と、最高の立地条件により、市民、事業者間の壁を越えたつながりがじわじわと広がりつつある。
その中心に位置しながら、外部からの来訪者にするとあまり認知されていない、いわば「盲点」のような場所である名勝庭園「渉成園」にスポットを当てて考えてみる事で「門前の未来」を展望できないだろうか?
パネリスト
尾形 浩一朗
プロフィール
2005年頃から「東本願寺と環境を考える市民プロジェクト」に参加、お堀の清掃や生き物探検などに関わる。2014年からは東本願寺の近隣連携事業の一環として毎年夏に「食とアートのマーケット in 東本願寺」を企画・運営。2020年には東本願寺・地域の事業者に呼びかけ「おひがしさん門前未来プロジェクト」を立ち上げ、門前や渉成園での様々な取り組みのコーディネート役として活動。また京都市下京区の「東本願寺前における市民緑地整備に向けた機運醸成事業」の委託を受け、地域の方々と一緒に市民緑地の活用に向けた調整、ルールづくりにも取り組む。
トークの概要
2009年2月~立命館大学主催「第1回文化遺産防災アイデアコンペティション」2020年12月~「市民緑地整備に向けた機運醸成事業」ハイパー縁側を実施。
2021年6月「庭」として門前エリアがつながっていくとの予感の中、ジル=クレマン「動いている庭」上映会の開催。現在も2021年10月から本格始動した「おひがしさん門前未来プロジェクト」の代表として次々に個性的なメンバーを加えながら、事業者の枠組みを超えた「産学官」連携・連帯・協働を進めている。
太田 陽介
プロフィール
御用達として東本願寺・渉成園の担当を務める。渉成園内に息づく生物多様性を守るため、創意工夫を凝らしながら育成管理に励む傍らで、京都の景色に欠かせない東山の林相改善事業の整備や研究にも勤しむ。いきもの全般に愛着を持ち、生物の視点から庭を見ることに重きを置いて渉成園に携わる。自然界にあるものは「とりあえず何でも食べてみる」主義。
トークの概要
生物多様性を重要視した庭園の育成管理にチャレンジするようになったきっかけは、1998年蓮如上人500回御遠忌に掲げられた「バラバラで一緒 差異を求める世界の発見」というテーマであった。そのイメージはに渉成園の高石垣が用いられていた。
昨今、世界的に自然環境の保全の意義は高まっている。文化財庭園の「維持保全」と門前エリアの大切なレフュージア(生物の避難所)の保全という相矛盾する使命を背負いながら、真宗大谷派の「教え」を表現する庭園としての「渉成園」実現に取り組んでいる。今回、門前エリア6施設にて制作展示したディスプレイ「いのち響きあう世界」に渉成園のテーマを盛り込んだ。シリーズタイトルを「回向ーEcho」と名付けさせてもらった。
松田 亜世
プロフィール
真宗大谷派企画調整局参事として、浄土真宗の教えを伝える様々な取り組みの企画立案や全国の寺院活性化支援活動に従事。1979年石川県の浄土真宗の門徒の家に生まれ、お内仏に座る祖父母の姿が仏教の原風景。ライフワークである音楽創作活動から「人間とは何か?」を考えるようになり、坐禅や仏像マニアを経て30歳で得度、真宗大谷派僧侶となる。
トークの概要
「渉成園」はご本尊を中心にした庭園ながら僧侶はその文化的な要素にしか着目してこなかったのではないか?という気付き。浄土真宗は「生活の中の仏教」。渉成園含む門前エリアに響く「教え」「バラバラでいっしょ ~差異(ちがい)を認める世界の発見~」世界観で改めて渉成園を眺めてみる。園林堂の棟方志功。サクラの生死無常。ビャクシン、ランドマーク、生死一如。
教えを体現する、体感する庭として渉成園。揺らぎながら共生する世界、自然法爾へ。
「観る庭」から「聞く庭」へ。
"自力"の庭から"他力"の庭へ。
安藤 隆一郎
プロフィール
京都市立芸術大学工芸科染織専攻にて専門技法のろう染めや作品制作の指導をする。個人の研究としては「ものづくりの視点から身体を見直す」ことを目的とした活動、<身体0ベース運用法>を行う。近年では自然との関わりから生まれる身体の可能性にも着目し、裸足の触覚を用いたワークショップや民具を手がかりに山の素材を採取して活用することの意味を探っている。東山区今熊野出身。
トーク概要
京都市立芸術大学移転の基本コンセプト「Terrace」。時代、社会背景、一般的常識等から少し浮いた場所としての芸術大学。開かれた状態で、地域と関わり、流入、流出を繰り返し、思考・感性を育ててゆく。
例として、崇仁地区でのジェン・ボーの取り組みの紹介。→詳細はこちら
学生たちの取り組み。自然との触れ合いが乏しくなる移転後のキャンバス。生物多様性の保全に取り組む渉成園をフィールドを活用した活動は可能だろうか?染色の授業。日本画の授業などが期待されている。