2023年8月23日~9月7日
処暑とは、暑さが少し和らぐ頃のこと。「処」は止まることを意味しており、この頃からだんだんと過ごしやすくなります。朝の風や夜の虫の声に、秋の気配が漂い出します。
庭師歳時記
見処:南大島「響き合ういのち」
草は虫の住処。夏の終わり、庭師たちは園内の外周から草刈りをスタートさせます。虫の逃げ場となる茂みが接するように草刈りの流れを工夫することで、次第に南大島へと虫達を移動させてゆきます。
その結果、南大島には虫の音で構成される立体的なサウンドスケープが完成。芝生広場では「虫聴き」の趣を愉しんでいただくことができます。
晩夏から秋にかけて一日を通して南大島から聴こえてくる虫の音の重なりは、この時期の渉成園にしかありません。味わい深い見処のひとつです。
季節の趣
「虫聴き」
日本には古くから、虫の音を聴いて愉しむ風習があり、「虫聴き」とも表現されます。江戸時代の人々は、お馴染みの虫の音を聴くために、庶民も武士も秋の夕暮れ時に出かけては耳をそばだてたといいます。
「虫聴き」は、江戸時代の『江戸名所図会』などにも見られる風流なあそびのひとつで、図会には当時の様子が美しく収められています。
…殊に秋の頃は、松虫・鈴虫露にふりい出て、清音をあらわす。よって雅客幽人(がかくゆうじん)ここに来たり、風に詠じ月に歌いて、その声を愛せり。
江戸名所図会「道灌山聴蟲 (どうかんやまむしきき)」
※現代仮名遣いに改めています。
二十四節気(にじゅうしせっき)とは
二十四節気(にじゅうしせっき)は、今でも立春、春分、夏至など、季節を表す言葉として用いられています。1年を春夏秋冬の4つの季節に分け、さらにそれぞれを6つに分けたものです。(国立国会図書館ウェブサイトより引用)
参考図書:
NPO法人自然観察大学(2017) . 『季節の生きもの観察手帖』 . 全国農村教育協会
白井明大・有賀一広(2012) . 『日本の七十二候を楽しむ―旧暦のある暮らし―』 . 東邦出版
晋遊舎ムック(2013) . 『七十二候がまるごとわかる本』 . 晋遊舎